あーとブログ

主に関東圏の美術展を見に行きます!

知識少ない自分なりに楽しんで見て書きたいと思います

ここは劇場か展示室か? 前代未聞の小金沢健人のKAATでの展示

 

神奈川芸術劇場(KAAT)での前代未聞の展示

小金沢健人展 『Naked Theatre –裸の劇場–』。

なんと、劇場全体を使って、空間全体を作品にしているんです!

 

普段、演劇、パフォーマンスが行われている劇場全体を、
作品展示空間にしているおもしろい企画であると知り合いの中で話題となっていました。
写真などではなかなか分かりづらいこともあり、
会期ギリギリですが、足を運んできました!

KAAT『裸の劇場』とは?

・どんな展示なのか?
・未体験の空間(ここは劇場か?展示室か?)
・所感
・参考資料

 

小金沢健人

 

どんな展示なのか?
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演劇でも、ただの美術展でもない今回の企画は、一体どう説明したらいいのか、
わかる範囲で述べたいと思います。ひとまず概要です。

会      期:2019年04月14日(日)~2019年05月06日(月)
        10:00〜18:00 会期中無休
会      場:神奈川芸術劇場 中スタジオ
チケット代:一般700円

 

最初にもらう「ごあいさつ」の紙には、
アート作品を、普段展示されるホワイトキューブ(白い壁で、作品を目立たせるための空間)ではなく、ブラックボックス(劇場のように無の状態から照明などで演劇をつくりだす空間)に持ち込み展示することが画期的であると書いてあります。

 

今回展示をする小金沢健人(こがねざわ たけひと)さんは、
ビデオや彫刻作品、ドローイングなど、ジャンルに限らない作品を国内外で発表して評価をされてきたアーティストです。

 

劇場といえば、舞台を見せることに注力しており、
照明や音響、それを扱うスタッフは、
裏方としてお客さんの目に触れないような形が一般的と思われます。
ですが、この企画名が『裸の劇場』であるように、
舞台装置やスタッフなどをあえてさらけ出す試みとなっているんです!

そんなさらけ出された劇場に、
小金沢さんが朗読をしている作品や、ビデオ作品、ネオンの作品などが入り混じり、その時々の空間自体が作品という、前代未聞の企画となっています。

 

未体験の空間(ここは劇場か?展示室か?)
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来 館 日:2019年5月5日(日・祝)※ゴールデンウィーク終盤
所 要 時 間:約30分(会場さっと2周りくらい)
混 み 具 合:まあまあ(ゆるやかに入れ替わり、5、6組いる感じ)

 

なんと、神奈川芸術劇場に来るのは、これが初めて;
(まさかの劇を見に来たわけではないという……)

今回の展示は、中スタジオ、広々とした空間を上がっていくと、
壁面に映像作品が。

チケットを購入するとマップとコンセプトの「ごあいさつ」の紙をもらいました。
↓会場マップはこんな感じ(手書きの私のメモが逆)

裸の劇場

撮影OKとのことで、何枚か撮影しました。

入った途端のこの風景で「!?」という感じでした。

空間全体が、スモーク(白っぽい煙)に包まれて、
他の人の姿がぼやけている。

裸の劇場

↓更衣室を使った展示空間も

裸の劇場

↓時間によって、中央のネオンが光ったり、スポットが消えたり

裸の劇場

↓ネオンは、日本語や英語、言葉ではないものなど混ざっていて、色もさまざま

裸の劇場

↓衝立には、小金沢さんの娘さんが書いたという文字?や絵が。
穴が空いていて、そこからスポットライトの光が漏れている

裸の劇場

裸の劇場

未知の空間で、初めての感覚なので、アート展示などに慣れていない人は、どうしたらいいのか戸惑うかな?とは思います(慣れてても戸惑う)
ですが、今までにない体験だったという貴重でした。

 

所 感
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30分くらいいましたけど、一秒たりとも同じ空間ではなかったです
照明(スポットライト)や、スモークの濃さ、音響(小金沢さんのつぶやき)、
他のお客さんの立ち位置などで、いろんな見え方ができました。

また、自分が座っているところに急にスポットライトがあたることもあり、
劇場のような、舞台と客席という境界がありませんでした。

帰ってから「ごあいさつ」の紙を開くと、人体のレントゲンのような絵が(A3)。

裸の劇場ごあいさつの紙

同じ紙の作品解説で小金沢さんが、今回の作品について下記のように書いていました。

 

「中スタジオにひとりでじっとしていると、鯨の腹のなかに飲まれてしまったような気がする。これはある種の胎動のめぐりだと思う」(配布資料より)

 


今回体験してみて、真っ暗な空間で、よくわからない音やつぶやきがあったり、
予測不能な光の動きがあったり、人の出入りがあったり……
たしかに、動物のお腹の中?というイメージがわからなくもない。

 

それにしても、今回の展示?は、
なんといえばいいんだろう。
劇場を使った巨大インスタレーションといえるのか、
もはや何とも言わなくていいのか、

劇場と美術館
演劇と美術
舞台と観客
作家とスタッフ
表と裏方


いろんなものが、ごちゃまぜになっていたように感じ、初の体験となりました。

 

今回私は用事後で疲れていて荷物も多かったので、30分で帰りましたが、
心地いい空間でもあったので、1時間くらいあっという間に流れそうです。

劇場にしては長い期間展示している今回の作品ですが、
5月6日(月・祝)で終わってしまうんですよね;

またこういった色んな境界を超えている、ジャンル関係なくおもしろい企画見れるのが楽しみです!
あとKAATに演劇も見に行きたい〜!

 

 

参考資料

神奈川芸術劇場公式WEBサイト
https://www.kaat.jp/
(2019/5/5閲覧)

小金沢健人展 『Naked Theatre –裸の劇場– 』
配布会場マップ、
ごあいさつ・作品解説