あーとブログ

主に関東圏の美術展を見に行きます!

知識少ない自分なりに楽しんで見て書きたいと思います

内藤礼『明るい地上には あなたの姿が見える』 −−謎タイトルの展覧会の内容とは?!

 

見てきました〜

東京駅からだと、バス往復で4000円ほどでした!

だいたい2時間くらいで水戸駅に到着!

東京駅発 − 赤塚・茨大・県庁 − 水戸駅行き / みと号 | 高速バスのご案内 - 茨城交通

 

そこからまたバスに乗ってたしか7、8分で最寄りバス停に到着
(結構大きい通りが芸術館近くまであるので、時間があれば歩くのもアリ)

大きな通りから水戸タワーが目印になって見えてくるかと思いきや、ちょうど大きな建物で隠れて、直前まで見えないんですよね;残念

 

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彼女の凄さを世に知らしめる大きなきっかけとなった
豊島美術館の《母型》

残念ながら、私はまだ見たことないんですね。

 

ただ、大阪の国立国際美術館で、

彼女の小さな作品(『死者のための枕』)を見た時、学生ながらに鳥肌がたって、彼女の名前を覚えることとなりました。

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独立行政法人国立美術館・所蔵作品検索

 

 

 そんなこんなで、水戸芸術館到着。

 

この日はくもり!!
自然光を使った展示と聞いていたので心配だったーー。

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 部屋はこんな感じ!

①〜⑦に分けて感想を。

 

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①最初の部屋には、
降ってきた雨が空中に浮かんでいるような透明なビーズがテグスで吊られ、空間にちりばめられていました。よく見ると、たまに鈴が混ざっています。

この日は、曇っていたこともあり、雨が降っているか確認する時に、宙を見上げる感覚を想起させました。

 

そして、後にもう一回でてくる作品
《タマ/アニマ(私に息を吹きかけてください)》は、
細い溝?の装置に、水が溜まっているので、そこに鑑賞者が息を吹きかけることができます。
息をふきかけると、ゆっくり水が波打ち、波が弱くなりながら向こう側に伝わっていきます。 
結構強く吹きかけると、ちょっと水がこぼれたり……(係の人が拭きにきてくれる)。意外に、強く一気に吹いても、水に勢いが飲み込まれてしまします。それよりは、静かに長ーくふき続けると、向こう側に届きそうな……気が……!

 

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②の部屋には、壁に大きな枠とそこにはまったガラス《窓》あり、その枠に、小さな木の人形《ひと》が何個か立ってます。一つ一つは、3cmもないくらいの大きさだったかと。木目がそのまま残っていて、目だけは描かれていた気がします。
この《窓》も何箇所かに展示されていますが、人の配置や、覗き穴程度の丸い鏡の配置など、細い部分は全然違います。 

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この、枠に立っている木の人形は、よく見ると一つ一つ
背格好が違い、「女性かな?」「子供かな?」推測できるようなものもありました。


開かない《窓》、生きていない《ひと》。
しかし、部屋の四方は風船が壁に張り付いていました。風船は、空気を必要として、空気が抜けていったりする動きがゆるやかにある。

さらに、窓の向かいには、半分ほど水が注がれた瓶が2つ地面に設置されていました。
違う部屋では、花が活けられていましたが、たしかここは水のみ。
間違って足をぶつけて倒してしまいそうな、危うさ。
たった瓶の半分ほどの水だが、その水で生きている花もあると思うと、とても重要な生きるエネルギーと捉えられます。
そんな大切だけども危うい生命のエネルギーの周りを歩いていることに、緊張感を覚えます。

 

③の部屋は、たしか天窓の部屋。
パッと見何もない部屋?と思いきや、
よく見ると、左右に天井から糸が垂れていました。

幻覚かわかりませんが、下に向かって、細くなっているような(?)

ちょっと人が近くを通るとすぐに風になびいて場所がわからなくなる。糸を辿って天井に目をやると、もうどこに糸があるのか視界を探さなくてはいけなくなる。
そんな繊細な作品。
さらに、左右対称の確か目線(私の身長150cm)より上に、手のひらサイズほどの鏡が。

糸を映すような場所にはない鏡2つは、それぞれ向かい合っています。
違いしか見れない場所にあり、見るもの、映すものがない鏡の役割は一体……!?

 

あれ?どこかでみたような部屋。
②の部屋と配置がほとんど同じ。奇妙な感覚を覚えながら次の部屋へ。

 

⑤の部屋、くもりだったため、薄暗く照らされた部屋には、天窓に向いて展示台に置かれているキャンバスが、左右の壁沿いにずらりと並ぶ。それぞれ、淡い色で抽象的な模様が描かれていました。
また、登場した、《タマ/アニマ(私に息を吹きかけてください)》は、今度は、角でカーブしており、より難しく……!
先ほどより強く長く息をふきかけても、角の部分で波が消えてしまいます。あちら側に私の息のさざなみが届く日は来るのだろうか。

部屋の真ん中には、上に向いた大きなキャンバスと、椅子が。
来た人が、自分が描いた作品のように愛着を持つことができるようにというメッセージなのでしょうか。

この部屋は特に、天気で見え方が左右されそうです。

 

そして、⑥の長い薄暗い通路へ。
先ほどの部屋と完全に区切られている訳ではないので、
自分がきた部屋を窓から覗いているかのような、奇妙な感覚に。

《ベンチ》が途切れることなくずーっと並んでいます。
疲れてベンチに座って、窓枠に立っている人をみると、
どこか、《ひと》が立っている窓枠に自分が腰掛けているような、
自分もその中の一人になったような不思議な感覚に襲われました。

 

壁には、糸のついた《鈴》や《顔(よろこびの方が大きかったです)》が何箇所かに展示されていました。《顔(よろこびの方が大きかったです)》は、外国の方と思われる人の載っている雑誌の一ページが、ぐちゃぐちゃな状態で糸で吊ってありました。

顔がぐちゃぐちゃな状態っていうのがなんか奇妙で、このタイトルを見た時、どういうことだろう? と謎が深まりました。誰の視点の喜びなんだろう?喜びの方がって、何と比較して? 雑誌に載っている笑顔の女性が、ぐちゃぐちゃにされた状態で多くの人の目に晒されることでも、注目されることは、彼女にとって恥より喜びが大きいってことか?

抽象的なもの中で、唯一でてきた具象的な写真だったために、存在が浮き立っていてどうもモヤモヤ……。

 

 

そして、凝縮された⑦の部屋に。

窓が3つの角にそれぞれ2つずつ。

ここで、《ひと》にある変化が!《帽子》を被っていたんです! 一人だけ。

なぜかここでテンションが上がった私でした(笑)

部屋の中央に、《人生の可能態》という、箱に鏡がセットされたもの?と、
その近くにある《恩寵》は、餃子の皮(例え)くらいの大きさのうすい丸い紙が置いてあり、なんと持ち帰り自由。その紙をよーくみると、中央に赤っぽいとても小さな文字で鏡文字で

 

「 お い で 」

 

と書かれていました。

なんか優しいようで、そこへ行ったらもどれなくなるような背筋の凍る感じもありました。

 

部屋の出入り口と見せかけて展示台(これも作品)になっている箇所には、また瓶と水が2つ1組みで。
その設置場所自体が、窓になっているようにも見えました。でも外に出ることができない。私たちには、水のみ与えられている。

部屋の外側のロビーのような空間には、椅子と、窓際に先ほどのような展示板の上に、おおきいぽんぽんのついた《帽子》が。

《ひと》人形には大きすぎるし、人間には小さすぎる帽子が、自然光に照らされて、
ぽつんと展示してありました。その帽子を囲むように、三方向に椅子が。

椅子に座って、この帽子を眺めてみる。
この帽子は、抜け殻なのか? 赤ちゃんに新しい編み物をつくるような、生命の誕生を予期させるものなのか?

展覧会の一番最後の作品が、この《帽子》であることは、
展覧会タイトルである「明るい地上には、あなたの姿が見える」という
「あなた」の存在を示唆しているのだろうか?

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(うろ覚えの図です)

その帽子をかぶる人の姿を、私は想像せねばならないのかもしれない。

 

 

(折れちゃった……) 

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いやー!!!!!

ほんとに、友達と2周くらいしましたけど、
この、洗練された感じと、ちょっと奇妙な感じ。
触れたいけど、触れるのが怖い、そんな展示でした。

豊島の作品も見に行きたいなー!

 

 

 

ちなみに、

帰りは、連休で道路が混んでて3時間くらいかかりました🙀

 

 

・参考

『明るい地上には あなたの姿が見える』展示マップ

Casa BRUTUS内藤礼が作り出す“生”の内と外。|青野尚子の今週末見るべきアート」

https://casabrutus.com/art/82579

(2018/11/25閲覧)