横浜美術館の30周年記念展。現代アーティストが、収蔵品を選んで展示。
今年で30周年を迎えた
横浜美術館。
これまでに多くの作品を集めてきました。
30周年を記念して、これまで集めた作品の一部を、
現代アーティストがセレクトし展示する展覧会が開催されました。
横浜美術館は、2019年で30周年
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横浜美術館は、1989(平成元)年に開館し、今年で30周年を迎えます。
その節目に、今まで収集してきた12,000点もの収蔵作品から、
「meet=出会い」をテーマに約350点を選んだ展覧会です。
通常ですと企画展と常設展がそれぞれ同時開催されますが、本展では全館を使っており、企画展と常設展の境目がない展示となっています。
「第Ⅰ部 LIFE:生命のいとなみ」、「第Ⅱ部 WORLD:世界のかたち」の二部構成。
特徴的なのは、4人現代アーティストが(束芋、淺井裕介、今津 景、菅 木志雄)が、ゲストとして作品選びに参加しているパートがあるところ!
自らの作品と、自らが選んだ収蔵作品を組み合わせ、同じ空間に展示しています。
展 覧 会 概 要
タイトル:『Meet the Collection -アートと人と、美術館』
会期:2019年4月13日(土)〜6月23日(日)※木曜休館
会場:横浜美術館
チケット代:当日一般1,300円
行ってきた!
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いやーー! 楽しかったです!
来 館 日:2019年6月1日(土)
所 要 時 間:1時間半(後に用事があり、少しかけ足)
混 み 具 合:そんなに……(一つの部屋に4、5組程度)
. .子どもから大人まで幅広い。一人で見に来ている人が多い。
「横浜美術館こういう作品持ってたんだ!」
っていう発見が。
しかも、見てても疲れにくい!笑
ゲスト・アーティストの作品の選び方が、
美術の知識とか美術史の流れとか知らなくても、
直感的にわかりやすい
からなのかなと思います!
基本的に撮影OKだったので、展示パートごとに紹介します!
第Ⅰ部 LIFE:生命のいとなみ
テーマ「こころをうつす」
現代アーティスト・束芋の作品 + 束芋がセレクトした横浜美術館収蔵作品。
明治〜昭和の、妖艶でありどこか奇妙な女性たちの絵が主に展示されていました。
※束芋作品は映像作品のため撮影禁止
テーマ「いのちの木」
現代アーティスト・淺井裕介の壁画に圧倒されました!
今回の展示のために、ボランティアの方々とともに描いたそうです。
壁画が広がる展示室には、淺井がセレクトした収蔵作品の展示が。
所々で、展示作品から着想を得たと思われる箇所が見てとれました。
淺井裕介《いのちの木》
テーマ「まなざしの交差」
収蔵作品のなかから、「まなざし」をテーマにした作品を展示。
奈良美智《春少女》はインパクトがありました。
このように、眼差しから、物憂げな表情が読み取れたり、
不穏な空気が感じられる作品が多数。
常に視線に囲まれているような感じで、ちょっとぞわっとしました。
奈良美智《春少女》
ウジェーヌ・カリエール《黙想》《笑うエリザ》
テーマ「あのとき、ここで」
歴史的な瞬間(戦争集結、震災)などの瞬間や、
その残骸・残り香をとらえた作品群の展示。
米田知子の阪神大震災後の遺体安置所や復興住宅を写した写真シリーズは、
遺体や倒壊した建物が写っているわけではありません。
ですが、その違和感のある綺麗さ、整い過ぎている新しさに逆に不安をかきたてられます。
アルフレッド・アイゼンスタット《対日戦勝記念日、タイムズ・スクエア、ニューヨーク・シティ》、ロバート・キャパ《開放の日、パリ1944年8月26日》同《解放の日、パリ 1944年8月26日》
米田知子《川(両サイドに仮設住宅跡地、中央奥に震災復興住宅をのぞむ)》
他タイトル記載なし申し訳ないです…
第Ⅱ部 WORLD:世界のかたち
テーマ「イメージをつなぐ」
現代アーティスト・今津景の作品 + 今津がセレクトした収蔵作品の展示。
今津さんの作品は、初めて拝見したのですが、
立体と平面、絵の具とデータ、古代と現代というさまざまなものが
一枚に収まっていて、今まで見たことないような油絵でした!
(というか、単純に色のまざり方、伸ばし方がきれい)
今津景《Repatriation》一部
テーマ「モノからはじめる」
アート界の重鎮・菅 木志雄の作品 + 菅がセレクトした作品。
1960年代末から「もの派」という素材自体を活かした作品制作を行うアーティスト派閥の一員。
いやー! 日本の現代美術史に外せない方が、まだまだ第一線で活躍されてるのに驚き! 若い。
ほかの展示作品と比べて、空間の余白を意識した作品で、
鑑賞者が、どのように作品との距離感をもつか?
と歩きながら考えさせれる作品でした。
(美術館前の野外空間にも展示あり)
菅木志雄参加の「モノからはじめる」展示風景
菅 木志雄《環空立》
テーマ「ひろがる世界」
シンプルな表現から、こちらに多くを想像させる作品群の展示。
有名なマグリットやダリの洗練された作品など、
展覧会の最後に、かなり締まったな〜!と思いました。
岩崎さんの作品は、いびつな形の針金だけなのに、横浜って分かるんですよね。
さらに、ほこりや髪の毛、すべて含めて作品なんです。
どこか皮肉込められてて、好きになりました。
展覧会のメインビジュアル
田中敦子《作品 67E》と、 右《作品 79X》
紺色の壁に映えます。
岩崎貴広《アウト・オブ・ディスオーダー(コスモワールド)》
おわりに
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テーマにそって、横浜美術館の収蔵作品を見れる良い機会でした!
知らない作品も、著名な作品もありました。
ちゃんと練られたテーマがある一方、アーティストの直感による選び方のコーナーもあり、
深さも新しさもある展覧会でした。
横浜美術館は、2020年度から大規模改修に入るそうで、
残りの企画展はあと2つ。
常設展も合わせて、じっくり見ていきたいと思います。
おまけ
入り口入ったところに、大きな淺井さんの作品がありました。
淺井裕介+共同制作参加者64名《種を食べた獣 (またの名を宇宙クッキー)》
シンプルだけど、かわいいデザインの図録は、勢いで購入。(たしか2000円ちょっと)
(丸く紙がくり抜いてあるのが、読んでると手にひっかかるw)
・参考
「Meet the Collection -アートと人と、美術館」特設サイト
https://yokohama.art.museum/special/2019/MeetTheCollection/
(2019/7/9閲覧)
作品リストも特設サイトに掲載。