あーとブログ

主に関東圏の美術展を見に行きます!

知識少ない自分なりに楽しんで見て書きたいと思います

閉館迫る原美術館が、約20年前のソフィカルのあの名作を再現展示。見れるのはあと一ヶ月のみ。

2020年12月をもって閉館することを発表した、原美術館


閉館まで2年を切った現在開催しているのは、

同館で19年前に開催したソフィ・カルの個展『限局性激痛』の再現展です。


ソフィ・カルは、写真と文章を組み合わせた作品で知られる女性アーティスト。
自身の失恋の体験を元に制作された一連の作品は、彼女を知らない人もとっかかりやすい展示となっています。原美術館の常設作品も、家のインテリアのように展示され、合わせて楽しめます。
一息つけるカフェ情報もお届けします♪

 

原美術館で開催中『ソフィ カル ─ 限局性激痛』

・行ってきた所感

・おまけ

・参考資料



 

 

原美術館で開催中『ソフィ カル ─ 限局性激痛』

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原美術館は、1979年、当初珍しい現代美術専門の美術館としてオープン。
美術館といえども、実業家原邦造の邸宅だという建物は、どこか居心地の良さがあり、
とても人気のアートスポットとして知られていました。
そんな原美術館は、2020年12月末の閉館を発表しています。
建物自体は1938年に建てられたということもあり、老朽化が進んでいたようです。

 

そんなタイムリミットが迫った原美術館で、現在(1/5〜3/28)開催していたのは、

『ソフィカル ─ 限局性激痛』


この作品展は、同館で19年前に開催し反響を呼んだ同展を再現した展示なんです。
原美術館が、こんなにソフィカルのコレクションを持っているとは知りませんでした!

ソフィカルといえば、文章と写真を組み合わせた作品で知られているパリ生まれの女性アーティスト。

私が彼女を知るきっかけとなったのは、《盲目の人々》という作品です。
盲目の人に、「これまで見た美しいものは何か」と質問し、その文章と共に、盲目の人のポートレートと美しいものと答えたものをイメージしてソフィカルが撮った写真を、セットで一つの作品として発表しています。


まず、盲目の人に美しいものは?と聞くという発想に驚き、それをイメージして写真を撮るとは?と、かなりコンセプトが練られていて、考えることが多い作品。

そんなソフィカルの本展での作品は、彼女自身の失恋の経験を元に作られたそうです。
アーティストってすごいですよね……自分の痛みすら作品に変えてしまうという……。

 

行ってきた所感

これは絶対逃せない!ということで、2月下旬に行ってきました。

1階の展示では、失恋までの92日間が写真で一枚ずつカウントダウンされています。


展示壁に写真同士横に隙間なくかけられていて、たまに添えられている文章が、
不穏な空気を匂わせているような感じがしました。

 

2階に展示されているのは、失恋後、他人に自分の不幸話を語る代わりに、
その人の辛い経験をきいたものを、写真と文章で表している作品群です。
これがなかなかヘビーな不幸話が多い……。
その話を聞いたからか、失恋の日から日数がたつにつれて、ソフィカル自身の失恋の話がうろ覚えになっていっているのが、文章とうすれていく文字色で表現されていておもしろい。

 

「限局性激痛」とは、医学用語で、身体部位を襲う狭い範囲の鋭い痛みや苦しみを意味しているそうです。失恋は、肉体的ではなく精神的な苦痛と思いますが、それでも衝撃や苦痛でいうと、「限局的激痛」という言葉が確かにぴったりな気もします。
(私は3日で立ち直ったなあと思い出したw)

 

今回の展示と合わせて見てほしいのが、美術館ならでのコレクション作品。
家ということもあり、リビングの壁のような場所にかけてあったり、
奈良美智さんは、部屋まるごとをアトリエにした空間が、作品として見れるようになったりしているのが特徴的。

今回原美術館に伺うのは初めてだったのですが、行けてよかったです!
邸宅での展示なので、美術館ほど敷居の高さを感じなくて、
庭や家のあちこちに風景の一部として作品が展示されていて、アートが生活の一部に溶け込んでいる感じがしていいなあと思いました。
あと2年、閉館までにまた足を運びたいと思いました。

 

原美術館

 

おまけ

今回の展示は、文章が多いということもあり、かなり疲れました(^^;
そこで館内の「カフェ ダール」でひとやすみ。
店内は、庭が見渡せるガラス張りになっています。
美術館併設のカフェといって侮ることなかれ!
今回食べたケーキは、凝っていておいしかったです。


おしゃれなグッズがたくさんあるショップもあるので、
お土産選びにも良さそう。

 

 

参考資料

原美術館WEBサイト
http://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/
(2019/3/2閲覧)
原美術館『ソフィ カル ─ 限局性激痛』配布コンセプト用紙